IV線の許容電流一覧表!管収容の減少係数と温度補正の計算完全ガイド
電気設備工事や盤内配線の設計において、基本中の基本でありながら事故やトラブルの原因になりやすいのがIV線(ビニル絶縁電線)の許容電流の選定ミスです。「カタログに載っている数値をそのまま当てはめて配管に通してしまった」「夏場の天井裏で温度補正を考慮せず、電線が異常発熱した」といった失敗は、現場で後を絶ちません。
IV線は最高許容温度が60℃と規定されており、露出配線時の基準値だけでなく、電線管への収容本数による電流減少係数や、敷設環境に応じた周囲温度補正係数を正しく掛け合わせて実効許容電流を割り出す必要があります。本稿では、現場ですぐに確認できる太さ別の一覧表とともに、ブレーカー選定の基準まで網羅して解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:IV線の許容電流は単線(1.6mm=27A、2.0mm=35A)とより線(5.5sq=49A、8sq=61A、14sq=88A)で規定され、周囲温度30℃の気中布設が基準値となる。
- 要点2:電線管やモールに複数本を収容する際は「電流減少係数(3本以下なら0.70)」の乗算が必須であり、管内発熱による許容値低下を織り込む必要がある。
- 要点3:過電流遮断器(ブレーカー)の定格容量は低減後の許容電流以下に設定するのが原則であり、温度補正と合わせて安全率を確保しなければならない。
【サイズ別一覧表】IV線の基本許容電流と単線・より線の定格値
内線規程およびJIS規格において、IV線(600Vビニル絶縁電線)の許容電流は周囲温度30℃・空中1条布設(基底状態)を前提として定められています。現場で多用される代表的なサイズの一覧は以下の通りです。
| 区分 | サイズ(導体径 / 断面積) | 許容電流(周囲温度30℃・気中) |
|---|---|---|
| 単線 | 1.6mm | 27A |
| 2.0mm | 35A | |
| 2.6mm | 48A | |
| 3.2mm | 62A | |
| より線 | 2.0sq(㎟) | 27A |
| 3.5sq(㎟) | 37A | |
| 5.5sq(㎟) | 49A | |
| 8sq(㎟) | 61A | |
| 14sq(㎟) | 88A | |
| 22sq(㎟) | 115A |
住宅配線で頻出するIV線1.6mmの許容電流は27A、IV線2.0mmは35Aです。動力盤や幹線配線で用いられるより線では、5.5sqが49A、8sqが61A、14sqが88Aとなります。ただし、この数値は「単独で風通しの良い場所に配線した場合」の最大値に過ぎません。実際の施工現場では、ここから必ず低減計算を行うことになります。
【電線管収容時の落とし穴】電流減少係数の適用ルールと計算手順
金属管(コンジットパイプ)や合成樹脂可とう管(PF管・CD管)の中に複数の電線を束ねて通線すると、電線同士の発熱が管内にこもり、熱放散が著しく妨げられます。そのため、内線規程では収容本数に応じた電流減少係数を乗じることが義務付けられています。
| 電線管内の電線本数(※中性線・アース線除く) | 電流減少係数 |
|---|---|
| 3本以下 | 0.70 |
| 4本 | 0.63 |
| 5本〜6本 | 0.56 |
| 7本〜15本 | 0.49 |
| 16本〜40本 | 0.43 |
単相3線式回路や3相3線式回路で同じ配管に3本の電線を通す場合、係数は0.70です。たとえば、基本許容電流が35AのIV線2.0mmを金属管に3本収容した場合の実効許容電流は以下のようになります。
35A × 0.70 = 24.5A
同様にIV線1.6mm(基本値27A)を3本通線した場合は、27A × 0.70 = 18.9Aまで低下します。単体では27A流せる電線であっても、配管に入れた瞬間に20Aを下回る計算となるため、配線設計における致命的な見落としポイントになりがちです。
【周囲温度補正】夏場の現場や天井裏で必須となる補正係数の算出法
IV線の絶縁体である塩化ビニル樹脂は熱に弱く、最高許容温度は60℃に制限されています。基準となる周囲温度は30℃ですが、工場内の高温エリアや真夏の天井裏、キュービクル内部では周囲温度が40℃〜50℃近くまで跳ね上がります。
周囲温度が30℃を超える環境では、以下の補正公式を用いて周囲温度補正係数を算出します。
温度補正係数 = √((60 - 実周囲温度 θ) ÷ (60 - 30))
| 実周囲温度 | IV線(最高60℃)の補正係数 |
|---|---|
| 30℃以下 | 1.00 |
| 35℃ | 0.91 |
| 40℃ | 0.82 |
| 45℃ | 0.71 |
| 50℃ | 0.58 |
天井裏などで周囲温度が40℃に達する過酷な現場では、許容電流値にさらに0.82を掛けなければなりません。高温環境を無視して定格いっぱいの負荷をかけ続けると、被覆の硬化や短絡火災の原因に直結します。
【ブレーカー容量選定】過電流遮断器と電線サイズのマッチング実務
電気設備技術基準および内線規程における大原則は、「電線の許容電流 ≧ 配線用遮断器(ブレーカー)の定格電流」です。万が一の過負荷時に電線が焼き切れる前にブレーカーを確実にトリップさせるため、遮断器容量を上回る許容電流を持つ電線を選定しなければなりません。
| 遮断器(ブレーカー)定格 | 標準適合サイズ(管収容3本以下・周囲30℃) | 備考・設計上の注意点 |
|---|---|---|
| 15A / 20A 分岐回路 | 2.0mm 以上(単相2線・3線) | 1.6mmは管収容で18.9Aとなり20Aブレーカーに不足するため2.0mmが標準 |
| 30A 分岐回路 | 5.5sq / 8sq 以上 | 5.5sq(49A×0.7=34.3A)が適合。距離が長い場合は8sqで電圧降下対策 |
| 40A 分岐回路 | 14sq 以上 | 14sq(88A×0.7=61.6A)で余裕を持った選定が推奨 |
| 50A 分岐回路 | 14sq / 22sq 以上 | 配管内本数や周囲温度により14sqが限界値に近づく場合は22sqに格上げ |
一般的な住宅やオフィスの20A配線用遮断器回路において、露出配線なら1.6mm(27A)でも規格を満たしますが、電線管に収容する場合は許容電流が18.9Aに落ちるため、2.0mm(低減後24.5A)の採用が必須となります。この差を正しく理解していないと、検査時の指摘や発熱トラブルを引き起こします。
【実務計算シミュレーション】現場でミスを防ぐIV電線許容電流の具体例
複合的な条件下における電線の許容電流計算をシミュレーションします。
【施工条件】
・使用電線:IV線 8sq(基底許容電流:61A)
・配線方法:金属管内に3本収容(電流減少係数:0.70)
・敷設環境:夏場の工場天井裏で周囲温度40℃(温度補正係数:0.82)
【計算ステップ】実効許容電流 = 61A × 0.70(管収容) × 0.82(温度補正) = 35.01A
基底状態では61Aの大電流を流せるIV 8sqですが、管収容と高温環境が重なることで、実際に流せる電流は35A程度まで急落します。この回路に40Aのブレーカーを設置していた場合、過電流遮断器が作動する前に電線の許容値を超え、重大な被覆劣化を招きます。現場の実環境を掛け算で正確に把握することが不可欠です。
【IV線の許容電流】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:HIV線(耐熱ビニル絶縁電線)とIV線で許容電流はどれくらい違いますか?
A1:HIV線は最高許容温度が75℃まで高められているため、基準許容電流がIV線よりも大きくなります。たとえば単線2.0mmの場合、IV線は35AですがHIV線は42Aです。高温になる盤内や省スペース配管でワンサイズ細い電線を選びたい場合に重宝されます。
Q2:アース線(接地線)も電流減少係数の本数にカウントする必要がありますか?
A2:通常時は電流が流れないアース線(接地線)は本数にカウントしません。電流減少係数は「常時通電によるジュール熱」を抑制するための規定であるため、通電状態にある線(相線・中性線)の合計本数のみで係数を決定します。
Q3:許容電流と「電圧降下」のどちらを優先してサイズを決めるべきですか?
A3:両方の基準を同時に満たす必要があります。許容電流を満たしていても、配線亘長が長いと末端での電圧降下が大きくなり、機器の誤動作や性能低下を招きます。まずは許容電流を満たす最小サイズを算出し、配線距離に応じた電圧降下計算(内線規程では幹線2%以下、分岐2%以下など)を行い、必要に応じてサイズアップするのが正しい設計手順です。
まとめ:設計ミス・発熱事故をゼロにする安全施工の鉄則
IV線の許容電流選定は、単にサイズ一覧表の数値を参照するだけでは完結しません。電線管内の収容本数による電流減少係数(3本以下で0.70)、敷設場所の温度に合わせた周囲温度補正係数、そしてブレーカー定格との整合性という3つの要素を確実に連動させて計算する必要があります。
安全な設備運用の根幹は、現場の実態に即した緻密な計算と適切な電線サイズの選択にあります。施工計画を立てる際は常に最悪条件(夏季ピーク時の天井裏温度や同時使用率)を想定し、余裕を持った配線設計を徹底しましょう。 (出典: iv 線 許容 電流(Yahoo!ニュース))